201002ibukisan
2010年2月伊吹山
- 山 域 伊吹山 標高 1337 m (日本百名山 滋賀県および岐阜県)
- 期 日 2010 年 2 月 20 日(土)~ 21 日(日)
- 参加者 dai,kayo
参加者が減ってしまって寂しい限りではありましたが、自分にとってはある意味「チャンス」でもありました。結果、daiさんとのマンツーマンでのスキー登山研修、こんな素 晴らしい体験させてもらって皆さんすみません。天気も最高、滑りも最高、行って良かっ た、登って良かったです、本当に。スキーが予想以上に楽しめたことで、登りの苦労が報 われました。
【行動記録】
2月20日(土)
S高校に 13 時集合、dai車に乗って、気づけば休憩なしで関ヶ原 IC へ直行。 明日の下見にとR365を長浜方面へ。この道は旧北国街道であり、沿道には立派な屋敷構えの家が多い。
天気はこの周辺だけ雨。登山口の上 野地区へ到着。伊吹山のスキー場は現在営業しておらず、麓も閑散として寂しい印象だった。
かつては ゴンドラも動いていたのだから広い駐車場があるかと思いきやそれも無い。このあたりは露天掘りによ る石灰岩の採鉱が行われているが、大阪セメントのボロボロの廃工場(写真)が閑散としたこの町の印象をさらに寂 しいものにしていた。この日は大垣市内に前泊。
夜しみじみ二人で焼鳥屋で一杯。

↑大阪セメントの工場跡地
2月21日(日)
大垣のビジネスホテルを5時30分に出発。途中、養老SAにて朝食を摂り、登山口へ向かう。 昨日は?で姿を見せなかった伊吹山が、真っ白な姿で目の前に現れて大感激する。神話では、ヤマトタケルノミコトが伊吹山の荒ぶる神を征伐に行ったものの、白い大きな猪や氷?に苦しみ、その命を絶ったという山である。周辺は春めいているのに、伊吹山だけ冬山の様相で、古代の 人々もまた畏怖すべき山としてその存在を感じていたのだろう。それにしても「登れるのかなあ」「登ったとして帰ってこられるのかなあ」という一抹の不安を抱えて準備開始。三之宮神社脇の駐 車場にはすでに 10 台ほどの車が駐車していた。登山口に雪はなく、ザックにスキー板をつけて出発。
※以下、時間は出発時間
7:00 杉の植林地の道をジグザグと、スキー靴を泥だらけにしながら歩く。途中、木が何本も折れ曲がって道を塞ぎ、スキー板をつけたザックで通るのに少々難儀する。
7:45 ようやく雪が出て来て、スキー場の一番下、「一合目」にてシールとスキーアイゼン装着。
8:50 三合目。中山再次郎の銅像前で休憩。この人は大正3年に伊吹山スキー場を創設 した関西スキー界の功労者で、レルヒで有名な上越高田にもスキーを習いに行き、この伊吹山で最初にスキーをした人物である。そういう伝統のある山スキーエリ アでありながら、この日スキーで登っている人はそう多くはなく、下山中の若者 が「スキーで登れるんですか?上まで?」と聞いてきたところを見ると、どうも そういうスタイルで登る人が案外少ないのかな、と言う印象だった。寒くもなく、信州だと 3 月下旬から4月上旬の春山の印象。冬のフル装備で登っている人が多いが、よく暑くないなあと思って見ていた。
3 合目付近から伊吹山

関西のスキー功労者 中山再次郎像→
10:14 6合目を過ぎ、最後の休憩。残り150m程度だが、傾斜が急になる。スキーで登るの が厳しくなってくる。8合目からは夏道をジグザグと登るが、もうここで自分はバテバテ。 力が変に入り踏ん張るので、足はつるし、靴擦れおこすしもう最悪。daiさんはどんど ん先へ行ってしまい、追いつこうにもその距離は一向に縮まらず。何度「私を置いて一 人で行って下さい」と言いたかったか。いやー本当にしんどかった・・・。11時過ぎ、daiさんにはるかに遅れてようやく山頂到着(余りに疲れて記録取るのも忘れ正確な時間不明)。
山頂では、元気の有り余るdaiさんが三角点を探していた。遠く乗鞍や御嶽まで見渡せ、天気は最高。自分は靴ずれができ、足が壊れそう。
上:伊吹山山頂にて、ヤマトタケル像

右:一等三角点の上で嬉々とする人
12:00 昼食後、スキーを装着して出発。苦労して登っただけあり、下りは最高! 続々と登ってくる登山者を尻目に「いいだろう」と言わんばかりに降りてきた。この瞬間、 本当に苦労して登って良かった!としみじみ。
途中、三重県立神戸高校山岳部の皆さんに遭遇。顧問の先生はインターハイで A 隊 の審査をしたということで、daiさんとしばし会話が弾む。女子は一人だけとのことだったが、進学校らしく落ち着いて、自立した合宿の様子が伺えた。
それにしても下山はあっという間。6合目まで下るのに10分程度しかかかっていない。 もったいないので滑りを楽しみながらの下山。ゲレンデに出ると雪の状態も悪かった。 一合目で再びスキーをザックにつけて、足の痛さに発狂しそうになりながら舗装された
車道を下る。駐車場着13:20。
快適な斜面
三重県から高校生の山岳部
【感想&雑記】
伊吹山というと、夏の花が最大の魅力で、この山だけに咲く固有種が多いことや、石灰岩地特有 の植物が多いことで知られる。その中で、ヨーロッパ原産のものがあるのだが、これは織田信長が ポルトガルの宣教師に薬草園を作らせたときに移植されたものの名残なのだそうだ。下山後に「薬草の湯」なるお湯に入浴して帰ってきたが、そうエピソードがあっての薬草風呂か。
さて、県外の山に行く機会があまり無い自分であるが、山の楽しみ方として、単に山に登るという ことだけでなく、その山にまつわる歴史や風土を知ることもその一つと実感。特に伊吹山の周辺は 関ヶ原古戦場の例を挙げるまでもなく、古からの歴史が交錯する場所で、それぞれの時代の人々がどんな思いでこの山を見上げて来たのかと思うにつけ、ただ山頂を極めたとか、気持ちよく滑れ たとかそういうことだけでない充実感が湧いてきた。
また、今回はからずもdaiさんと二人だけでの山行、正直二人だけ、と聞いたときには躊躇しなくもなかったが、予想以上の収穫があり、本当に参加して良かったと思っている。宿泊を伴って の県外の日帰り登山もいいものだと思った。こういう企画も年に 1 回はあると、旅行気分も味わえ 一石二鳥、参加意欲も湧くか?長い休みに良く京都へ出かけるが、次に行くときは車窓から見え る伊吹山に、特別な感慨を抱くことになりそうだ。(kayo記,GPSデータ dai提供)